記事公開2019/11/08
ブレーキパッドの限界まで使用してブレーキディスクまでガサガサに削れてしまった場合はブレーキディスクも交換してしまうのが手っ取り早いです。
ブレーキディスクの部品が製造中止などで手に入らない場合は仕方なくブレーキディスクを研磨したりしますが、普通は部品を交換しても費用はあまり変わりません。
今回の記事内容では、ホンダのスクーター(シルバーウイング400)のリヤ・ホイールのブレーキディスクとブレーキパッドを交換しましたので、『ここまで使用したらダメですよ!』という見本の参考画像を添えて説明します。
バイクのブレーキパッドの交換時期は?
バイクのブレーキパッドの交換時期はバラバラです。走行距離での判断はできません。
実際にブレーキパッドの残りの厚さを目で見て確認するのが確実です。
バイクのブレーキパッドの交換時期は20,000㎞から40,000㎞…と言いたいところですが、実際のところは8,000㎞でも交換しないといけない車両もあれば、全く交換しなくとも50,000㎞ぐらい乗る人もいます。
バイクのブレーキパッドが磨耗するスピードはブレーキを使う回数や頻度、それにブレーキキャリパーのひきずりや固着している状態などによって左右されます。
それに新車からワンオーナーで乗り続けているなら、整備記録も自分で管理できるし、走行距離での判断も目安になるかと思います。
しかし、中古車になるとメーターの走行距離というのはアテになりません。
実走行距離ではなくてメーターの交換車両やメーターの巻き戻し車両が当たり前のように中古車市場に流通しているからです。
ブレーキパッドの寿命とは?
ブレーキパッドの寿命についてですが上の写真は今回交換したシルバーウイング400のリヤのブレーキパッドです。
左が限界を超えて寿命をむかえたブレーキパッドで右が新品のブレーキパッドです。
もちろん、ここまで使用するのはアウトです。
こうなる前に気が付くことができるように、日頃からブレーキパッドの残りの厚さを点検しておきましょう。
ちなみに、この車両の走行距離は6,000㎞位でしたが、経年劣化によるブレーキキャリパーのひきずりとパーキングブレーキのひきずりがありました。
ですので、いちがいにブレーキパッドの交換時期は走行距離だけでは判別できないのです。
バイクのブレーキパッドの残量の見方
バイクのブレーキパッドの残量の見方はかんたんです。
直接ブレーキキャリパー部分をのぞきこめば、ブレーキディスクの両側にブレーキパッドの残りの厚みが確認できるはずです。
もし、ブレーキパッドの残量が確認しにくいブレーキキャリパーならブレーキキャリパーを取り外して、直接ブレーキパッドの残りの厚さを点検しておきましょう。
注意点として、ブレーキパッドの残りの厚さを確認する目的だけのときはブレーキキャリパーを外すときはブレーキホースは絶対に外さないようにしましょう。
バイクのブレーキディスクの交換時期は?
ブレーキディスクの交換時期は以下のようなときです。
- ブレーキディスクがガタガタに磨耗している。
- ブレーキを掛けるとジャダー(ブレ)が酷い。
- 事故車などで明らかにブレーキディスクの見た目が歪んでいる。
- 磨耗して新品の厚さより2mmは減っている。
ブレーキディスクはブレーキパッドほど磨耗が早くないので、ひんぱんに交換するような部品では無いです。
しかし、ブレーキキャリパーが固着したまま気が付かずに乗り続けたり、ブレーキパッドの使用限界をこえてブレーキパッドの地金まで削れているのに使い続けていると記事冒頭の写真のようにガタガタに削れてしまいます。
下の写真は今回交換したシルバーウイング400のリヤのブレーキパッドですが、見事にパッドの地金まで削れてしまっています。
バイクのブレーキパッドの場合はパッドインジケーターという「キーキー音で限界を知らせる金属プレート」が付いていない車種がほとんどですのでノーメンテナンスで乗りっぱなしの車両ではブレーキパッドが限界を超えていることがよくあります。
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このような限界を超えたブレーキパッドでゴリゴリと削られていったブレーキディスクは、均等な減りかたをせずに表面がデコボコに削れていきます。
ブレーキディスクのスリット(上の写真では丸い穴)はブレーキの熱を放熱する役目のほかにブレーキパッドの削れた粉を排出する役目もありますが、今回交換したブレーキディスクのスリットにはブレーキディスクやブレーキパッドの削れた粉が詰まっています。
このような状態ではパッドの粉を排出する性能も落ちるし、ブレーキディスクの放熱性能も落ちます。
新品のブレーキディスクに交換するときの注意点
新品のブレーキディスクを取り付けるときはディスクの制動面に油分をつけないように気を付けましょう。
新品のブレーキディスクの取り付けボルトにはネジロック剤をてんぷしてブレーキディスクを取り付けましょう。
ブレーキまわりの部品の取り付けは、走行中に絶対に緩まないように特に締め付けトルクの管理が重要です。
ブレーキフルードの交換時期は?
上の写真は今回のシルバーウイング400のリヤのブレーキマスターのタンクです。
ご覧の通り、汚ない茶色に変色しています。
経年劣化によるブレーキフルードの汚れは確実に起こる現象ですので、ブレーキフルードというのは車検ごとの交換、もしくは2年ごとの交換がベストです。
また、2年ごとの交換以内でもブレーキフルードを交換した方がよい場合があります。
ブレーキが焼けてしまってブレーキフルードが沸騰した事がある場合は、ブレーキフルードの性質が変化しているので早めに交換した方がよいです。
ブレーキフルードの交換の注意点
ブレーキフルードの交換は全量交換が基本ですがブレーキフルードの交換はエアが混入しないように完璧に行わなければいけません。
ところがメンテナンス初心者がやってしまいがちな失敗が、ブレーキキャリパーのエア抜きプラグから全てのブレーキフルードを抜いてしまう失敗です。
ブレーキラインの構造は、ブレーキマスターのフルードタンク ➡ ブレーキマスター ➡ ブレーキホース ➡ 各ブレーキキャリパーへとブレーキの油圧を伝えているのですが、ブレーキキャリパーから全てのブレーキフルードを抜いてしまうとそれより前のブレーキラインは全てエアが混入してしまいます。
ブレーキラインの全てにエアが入ってしまうとエア抜きにはかなりの時間がかかります。
しかし、大事なことなので何回でも言いますが、時間がかかってでもブレーキのエア抜きは完璧にやらなければいけません。
エアを混入させないフルード交換方法
バイクのブレーキフルードの交換でエアを混入させないでブレーキフルードを交換するには、2ヶ所にパート分けして順番にエア抜きを行います。
- ブレーキフルードのタンクキャップを開けてタンク内のフルードを負圧で吸い出す。(このとき、タンクの底にある穴の回りは古いブレーキフルードを吸い出すのを避ける)タンク内の不純物やゴミも取り除く。
- 新しいブレーキフルードをタンク内に補充する。(このときにタンクの底の穴から気泡が上がってこないか、しばらく見る。)
- タンクの底の穴からエアが上がってこないなら、ブレーキキャリパーのエア抜きプラグからブレーキホース内、ブレーキキャリパー内の古いブレーキフルードを抜いていく。(※タンク内のフルード液面が下がっていくのでエアを吸わないようにフルードを補充しながら注意して作業する)
- ブレーキキャリパーのエア抜きプラグから綺麗な色の新品ブレーキフルードが出てきたらエア抜きプラグを締める。
- ブレーキレバーを軽く握り、手応えが弱いと感じたら、ブレーキレバーをレバーの遊びの部分で何回かカチャカチャしてみる。(このとき、ブレーキラインにエアがまだ残っていたらタンクの底の穴から気泡が出てくる。)
- 新品のブレーキパッドをブレーキキャリパーに装着してある状態でブレーキフルードをタンクのアッパーレベルまで入れて調整する。
- タンクのキャップを締めて、ブレーキがしっかり効くか確認する。
- ブレーキフルードが漏れてきていないか?などを確認して問題がなければ作業終わり。
まとめ
ブレーキはしっかり効くかだけでなく、ひきずりが無いかや固着していないかが重要です。
ブレーキをかけていないときは、ホイールを浮かせた状態で、ホイールを手で回転させたときに重たい感じがなく、スーっとスムーズに回転する状態がベストです。
- ✔ブレーキパッドの残りの厚さ
- ✔ブレーキディスクの表面の状態
- ✔ブレーキフルードの色や液量
- ✔ブレーキラインからの液漏れがしていないか?
- ✔ブレーキキャリパーの作動状態はスムーズか?
上記の項目を日頃から点検していれば、今回のシルバーウイング400のブレーキディスクやブレーキパッドの状態のようにはならないはずです。
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