2019/12/01
こんにちは。フリーランス整備士ブロガーのぼすです。
今回はジムニーのブレーキ固着のためブレーキキャリパーを分解して清掃しました。
(固着してブレーキがひきずりを起こしているため走れない状態です。)
本記事の内容
✔「ブレーキキャリパーが動かないし錆び付いているな。」
✔「ブレーキキャリパーのピストンが抜けないな。ピストンの抜き方を知りたいな。」
✔「ブレーキキャリパーの動きが悪いなあ、ブレーキキャリパーのオーバーホールのやり方を知りたいな。」
本記事の内容はこのような悩みにお答えしています。
なお、ブレーキキャリパーのシール類は『オーバーホール』という言葉の定義上では新品に交換するのが常識です。
ピストンに関しては、実際の現場ではピストンのさびの状態によってはピストンを再利用したりする場合もあります。
また、あまりにもサビの侵食がひどい状態のキャリパーの場合はブレーキキャリパー本体を交換しないといけない場合もあります。
- ブレーキキャリパーのオーバーホール・分解(分解整備)手順
ブレーキキャリパーのオーバーホール・分解(分解整備)手順
まずは、ブレーキキャリパーの外し方ですが、ブレーキキャリパーのキャリパーサポートと呼ばれる部分の取り付けボルトを緩めます。
キャリパーの取り付けボルトを緩めることができたら、ブレーキホースのバンジョーボルトも※一瞬緩めて軽く仮に絞めておきます。⬅ここ重要
片押しのシングルピストンの場合はフローティングになっている場合がほとんどですので、ブレーキキャリパーの取り付けボルトはスライドピンになっているものが多いです。
固着しているブレーキキャリパーのピストンは戻らない場合が多いのでブレーキキャリパーの取り付けボルトを外してもブレーキパッドとブレーキディスクの摩擦が強すぎて、なかなか外れない場合がほとんどですが、根気よくキャリパーを揺らしながら外しましょう。
ブレーキキャリパーのピストンが戻らない・戻りが悪い
ブレーキキャリパーのピストンが全く戻らなくて、ブレーキディスクからブレーキキャリパーを外すことができないなら、先にブレーキホースを外してみるのもありです。
✔ブレーキホースを外したことによってブレーキフルードが抜けたぶんピストンが戻りやすくなることがあります。
✔先にブレーキパッドを外すことのできる構造なら、パッドピンなどを外して先にブレーキパッドを外してみるのもアリです。
整備にやり方はあっても整備手順にセオリーはありません。頭を使ってなんとかやる方法を考えるのが大切です。
ブレーキキャリパーとブレーキホースを外す
無事にブレーキキャリパーをキャリパーサポート(キャリパーブラケットとかも言う)から取り外すことが出来たらブレーキホースを外します。
ブレーキホースが外れたら上の写真のように適当なボルトでメクラしてブレーキフルードが無駄に流れ出るのを防ぐのもよいです。
最初にブレーキキャリパーの取り付けボルトを緩めるときに「ブレーキホースのボルトも一瞬緩めて仮に締める」と言った訳がここでわかると思います。
理由はキャリパーが外れて固定されていないので、最初に緩めておかないと固くて緩めれない場合が多いからです。
ブレーキキャリパーを分解する
✔ブレーキキャリパーを分解するときは薄手のゴム手袋をした方がよいです。
なぜならブレーキフルードには『吸湿性』があるため、回りの水分と結び付こうとします。
ブレーキフルードが手に着くと熱く感じたりしますが皮膚からの水分と結び付いたりするからです。
説得力のない写真ですがwww
ブレーキキャリパーのピストンが抜けない・外れない
✔「ブレーキキャリパーのピストンが抜けない!」
✔「ブレーキキャリパーのピストンが外れない!」
このような場合はどうするか?答えは「圧力を使う」もしくは「工具を使う」です。
ブレーキキャリパーのピストンの抜き方・外し方
①圧力を使う
まずは「圧力を使う」ブレーキキャリパーのピストンの抜き方や外し方ですが、これは二種類のやり方があります。
ひとつは上の写真のようにコンプレッサーの圧縮エアをブレーキキャリパーのボルト穴から送り込んで「パコン!」とピストンを抜く方法です。
✔コツとしては、一気にエアを出さずに徐々にエア圧を強くしていく感じです。
あと、注意点としましてはキャリパーをウエスや要らないタオルで覆ったりした方がよいです。
なぜなら、ピストンが勢いよく発射されたり、キャリパー内に残っていたブレーキフルードが飛び散ったりと散々だからです。
これまた説得力のない画像ですが、ピストンが収まっているブレーキキャリパーの構造をわかりやすく伝えるためにウエスで覆ってないのですよ。
もうひとつの「圧力を使う」やり方はブレーキキャリパーを外すまえにブレーキの油圧でピストンをある程度押し出す方法です。
やり方は、ブレーキパッドをはずした状態でキャリパーのピストンが抜け出て外れる一歩手前までブレーキペダルをふみます。
ギリギリまでピストンが抜け出てしまえば、あとは手でも外れるくらい軽いはずです。
②工具を使う
固着していない状態のピストンであれば、ピストン回しなどの『ピストンプライヤー』でピストンを抜くことができます。
これらのピストンツールはピストンのもみだしなどの作業をするときにも使います。
(記事の最後でピストンのもみだしについても解説しています。)
ブレーキキャリパーのシールとダストシールを取り外す
ブレーキキャリパーのシールとダストシールを先端のとがった工具などで取り外して、シールが入っていた溝のサビを磨いて落とします。
ダストシールを取り外す時は、ダストシールの固定用のリング(針金みたいなやつ)がはいっているので溝から取り外します。
ブレーキキャリパーの溝を清掃する
ブレーキキャリパーのシールを取り外したらシールが入っていた溝にサビやブレーキダストなどが詰まっているのがわかります。
これらのゴミが溜まることが、ブレーキキャリパーのピストンの動きが悪くなる原因になるのです。
ブレーキキャリパーの溝を清掃するには上の写真のような工具などを使って溝のなかのゴミをかき出していきます。
溝のなかのゴミをあらかた取り除いたら、600番から1000番のサンドペーパーなどでもシリンダの内面を磨いていきます。
ブレーキキャリパーのピストンもサビを磨いて確認する
ブレーキキャリパーのピストンもサビを落として、『虫食い穴』などの状態になっていないかを確認します。
ここでもし、虫食い穴などが確認できたらピストンも新品に交換です。
シールと虫食い穴のすきまからブレーキフルードが液漏れしてきたら二度手間になりますからね。
ブレーキキャリパーのピストンもキャリパーのシリンダと同様に600番から1000番のサンドペーパーで磨いていきます。
磨くときはピストンの稼働方向に磨くのはNGです。ピストンの円に沿って横方向に磨きましょう。
ブレーキキャリパーを水洗いする
ブレーキキャリパーやピストンを清掃して、ある程度きれいにサビが落ちたら水洗いなどをして汚れを落として、よく乾燥させます。
ブレーキキャリパーのブリーダーボルトも点検する
忘れやすいのが、ブレーキキャリパーのブリーダーボルトのサビですね。
ボルトを外すと上の写真のようにサビが隠れていることがあるので必ず確認しておきましょう。
こちらも、あまりにもサビが酷いものは部品を交換した方が安全です。
サビや侵食がひどいとすきまからブレーキフルードが染みだして液漏れしてしまいます。
ブレーキキャリパーを交換しなければいけないとき
固着、あるいは液漏れしているブレーキキャリパーをオーバーホールしようと確認のために分解してみたら、思っていたよりサビや虫食い穴が多くて酷い状態になっていた場合は、残念ですがブレーキキャリパーを交換した方が確実に安全です。
関連記事⬇
ブレーキキャリパーのオーバーホールキットでシール類を交換する
ブレーキキャリパー、ピストン、スライドピンなどのサビを落として磨いたらブレーキキャリパーのオーバーホールキットなどを使ってシール類を交換します。
シールが入る溝にゴミが残ってないかを念入りに確認しましょう。
ゴミが残っていると溝に入れたシールが浮いてピストンを入れるのが固くて入れにくくなったりします。
ブレーキキャリパーのオーバーホール時期について
ブレーキキャリパーはどれぐらいの頻度でオーバーホールしなければいけないのか?あるいはどれぐらいの頻度でオーバーホールした方が良いのか?についてですが、これは車の使用条件によって変わってきます。
通常使用であれば、車検時にブレーキの動きを必ず確認するので固着状態を見逃すことはめったにありませんが、たまにしか乗らないような車で保管場所の湿度が高い場合などは要注意です。
湿度が高い場所や保管場所の状態が悪い場合はそれだけブレーキキャリパーも錆びやすいということですので、ブレーキに異常を感じるようなら早めのオーバーホールをおすすめします。
ブレーキキャリパーのオーバーホールに使うグリス
ブレーキキャリパーのオーバーホールではシリコン系のグリスを使ってシールやピストンを組つけますが、グリスをベトベトに塗りすぎるのは禁物です。
あくまでも薄くグリスを塗り広げる感じで使ってください。
ブレーキキャリパーを取り付ける
順調にブレーキキャリパーをオーバーホール出来たら、ピストンが重たくないか確認してブレーキキャリパーを取り付けます。
新しいブレーキフルードを入れてエア抜きをする
ブレーキホースも取り付けたら、新しいブレーキフルードを入れてブレーキキャリパーのブリーダーボルトからエア抜きをします。
ブレーキキャリパーのエア抜きにはエア抜きの専用工具を使います。
以上がブレーキキャリパーのオーバーホール作業手順の簡単な説明になります。
キャリパーのピストンのモミ出しについて
ブレーキキャリパーのピストンが固着状態までは行かないが、ピストンの動きが少し悪い(重たい)場合はブレーキキャリパーをオーバーホールせずに『ピストンのモミ出し』を行いますが、ピストンに傷を付けないためにもピストンツールが必要です。
ブレーキキャリパーのピストン戻しについて
ブレーキキャリパーのモミ出しのときや分解時に一時的にでも戻りにくいピストンを戻したいときなどに使用する工具が⬇に紹介する工具になります。
通常、『ピストン戻し』と言ったりする工具ですね。
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