記事公開2019/09/23
日産シビリアンのエアサスコンプレッサー周りから微量にエアが漏れているとのことで修理依頼を受けました。
エアサス周りのエア漏れというのは、エア漏れの『シューッ!』という音が聞こえれば分かりやすいのですが、エア漏れの音が聞こえにくい場合はエアが漏れている箇所はなかなか見つけられないものです。
エアサスとは?
エアサスとは『エアーサスペンション』の略語で圧縮空気で膨らませたショックアブソーバのことです。
車体の重量が増加した場合の車の乗りごこちの改善のためや、車体の安定性を保つ目的で付けられています。
カーイベントやショーカーなどで「ベッタベタ」の低い車高のカスタムカーにも、よく取り付けられていますよね。
エアサスのコンプレッサー周りからのエア漏れ
今回のシビリアンのエア漏れ箇所は、音が聞こえる範囲はエアーコンプレッサー周辺なのですが、明確なエア漏れ箇所はハッキリとしないため石鹸水による泡での判定をすることに。
エア漏れを石鹸水で特定する
エア漏れしている箇所に石鹸水などを吹き付ければ、泡が膨らんでしゃぼん玉のようになるのでエア漏れ箇所が分かります。
今回、エア漏れが判明した部分は数ヶ所あり、1つずつ処置していきます。
まず、1つめはエアコンプレッサーからエアタンク間の樹脂ホースのジョイント部分からのエア漏れです。
エアホースのジョイント部分
エアホースのジョイント部分は経年劣化と振動による磨耗により、痩せ細っていました。
このホースは新品に交換します。
コンプレッサー本体からもエア漏れを発見
コンプレッサーの黒いタンク(丸い筒状の部品)のコンプレッサー本体と繋がっている部品からも泡が膨らんで出てきます。
おそらくOリングなどの部品が劣化しているのだと予想してエアコンプレッサー本体を外していきます。
予想通りのOリング不良
黒い丸い筒状のタンク(正式名知らない)のOリングは部分的に欠けていました。
Oリング拡大
おそらく振動により磨耗していったものだと思われます。
こちらも新しいOリングに交換して処置終了。
このシビリアンの年式も古いのですが、それにしても経年劣化と振動による磨耗の具合が酷いですね。
コンプレッサーの取り付けは、防振ゴムとカラーで取り付けてあるはずですが、防振ゴムは劣化してちぎれてなくなっていました。
防振ゴムが無くなると振動が大きくなるので、振動による磨耗がさらに加速します。
エア漏れの点検は忘れずに。
エア漏れ箇所の部品を交換したらコンプレッサーを試運転してエアホースとエアタンクに圧力をかけていきます。
エア漏れの『シューッ!』という音がしなくても念のため石鹸水をかけて、泡が膨らんでこないか確認して異常がなければ終了です。
シビリアンのグロープラグ交換
エア漏れ修理ついでの作業ですが、シビリアンのエンジンが朝イチの始動が掛かりにくいため、グロープラグを交換します。
赤い○の部分にあるのがグロープラグです。
【豆知識】グロープラグとは?
ガソリンエンジンはスパークプラグで圧縮混合気に点火してエンジン始動しますが、ディーゼルエンジンにはスパークプラグがありません。
ディーゼルエンジンは燃焼室の圧縮熱で混合気自体の着火温度に達すると自然に燃焼室内で爆発するのです。
しかし、朝イチのエンジンは冷たく冷えています。当然、朝イチのエンジンの圧縮空気も冷えているので、着火温度に達しにくいのです。
そこで必要になるのが『グロープラグ』です。
グロープラグはガソリンエンジンのスパークプラグのように火花を飛ばす仕組みではなく、グロープラグの尖端が熱線のように赤く焼けることで圧縮空気に着火する仕組みです。
グロープラグも消耗品ですので、スパークプラグほどの交換サイクルではないですが、熱やディーゼルエンジン特有の『煤』によって着火性能が低下します。
古いディーゼル車で朝イチのエンジン始動が悪い人は、一度、グロープラグを換えてみれば始動が良くなるかもしれませんよ。
おわり。