記事公開2019/09/19
走行中にタイヤやホイールあたりから『ゴーゴー』という音や『キュッキュッ』という音が聞こえてきてタイヤやホイールを目視で点検してみたけど、「異音の原因がよくわからないなあ?」なんてことはありませんか?
このような場合はほとんどが『ハブベアリング』からの異音が多いです。
ハブベアリングから異音がしている場合は、ハブベアリングが磨耗していてベアリングに『ガタ』があるので部品の交換が必要になります。
ハブベアリングの『ガタ』を点検する方法は、ホイールやタイヤを浮かせた状態で、タイヤの上と下を押さえながら上下方向に揺さぶることでベアリングの『ガタ』があれば「ガタガタ」と手に感触が伝わるので確認できます。
どうしても異音の原因がホイールベアリングからだと特定が出来ない場合は、プロの整備士がいるピットにGOO!しましょう。
ハブベアリングとは?
ハブベアリングとはホイールとドライブシャフトの接続部分にあるベアリングで、車の車体の重さや走行中の『荷重』を常に受けながら回転している部品です。
そのため、過酷な状況下にあるハブベアリングには耐熱性、耐磨耗性を重視した材質が使われていますが、やはり消耗部品ですので、いずれは交換が必要になります。
ハブベアリングの交換
ハブベアリングの交換方法は車種にもよりますが、多くの場合はホイールを外してブレーキキャリパーやブレーキディスクも外さないと交換できないため、陸運局の許可を受けている足回りを分解整備できる事業所に修理をしてもらうのが一般的です。
自分の車の足回りを分解整備するのは許可はいりません。しかし、何か問題があっても自己責任になります。
ハブベアリングの交換手順
今回、ハブベアリングの交換手順の例に出すのは、以前に『オルタネーター交換』の記事にも書いたBMWミニです。
まず、リフトでもジャッキでもいいですが車のホイールを浮かせてタイヤを外す必要があるのでカージャッキや『ウマ』を用意しておきます。
ブレーキキャリパーやブレーキローターを外す
- ホイールをはずしたらブレーキキャリパーを外します。(⚠ブレーキホースは外さない!)
- 外したキャリパーは作業の邪魔にならないようにズラしてS字フックやインシュロックなどを使って吊るしておきます。
- ブレーキローター(ブレーキディスク)を外します。
ナックルとハブを外す
- ナックルごと外す、もしくはハブだけ外す。
- バックプレートを外す。
- ハブからハブベアリングを油圧プレスなどで抜いて交換する。(車種によってはハブアッセンブリーで交換する。)
『ハブ』はベアリングがハマっているセンターの部分で『ナックル』はステアリングに連結するタイロッド・エンドやロア・ボールジョイントなどが繋がっている土台の部分です。
多くの場合はナックルごとハブを外してから油圧プレスをつかってハブベアリングを抜きますが、今回のBMWミニの場合はセンターナットを外して、ナックルの裏側のボルトを4本外せば、あとはギヤ・プーラーなどでハブを外せます。
セオリー通りの作業も良いですが、整備士は時短作業できないかも常に意識します。
外したハブベアリングのガタを点検する
- 異音がしている問題の箇所を確認する作業で、ハブベアリングを素手で回転させてみて、『ゴリゴリした感触』や『ジャリジャリした異音』が感じ取れるかを確認します。
- このときに素手にゴリゴリ感を感じないようなら、もしかしたら別の箇所の異音かもしれません。
新しいハブベアリングに交換する
- 油圧プレスをつかって新品ベアリングを入れていきますが、圧入するさいはハブ、ベアリング、ベアリング径のソケットなどの当て物が真っ直ぐに入っていくように確認しながら慎重に入れていきます。BMWミニのようなハブアッセンブリーの場合はシャフトのセンターナットを少しずつ締め込みながら取り付けしていきます。ナックルの裏側の4本のボルトも仮付けしておきます。
- シャフトのセンターナットはドライバーとハンマーでつぶす『回り止め』が付いているタイプの場合はナットも新品に交換します。締め付けトルクは車種ごとのサービスマニュアルを確認してください。
ハブボルト、ホイールボルトのサイズ違いには注意する。
最近は純正部品以外の色々な『イミテーション品』がECサイト(インターネット通販)で簡単に購入できますが、車検証の記載情報の確認欄がないようなネットショップからの購入ですと、自分では間違いのない製品をちゅうもんしたはずが年式違いやグレード違いの製品が届いたりすることがあります。
全てのイミテーション品が不良品とは限りませんが製品の取り付け寸法が合わないなどの不良品があることはよくあるようです。
ハブボルトやホイールボルトのサイズ違いの製品が届いたりなんてこともあったりするとか。
ハブベアリング交換工賃は?
ハブベアリングの価格は車種によって違いますが、イミテーション品で片側3,000円~7,000円ほどが目安で、純正部品で片側3,000円~15,000円ほどといったところでしょうか。
ハブベアリングの交換工賃は片側3,000円~12,000円といったところです。
『ハブベアリング異音ガタガタ』放置するのは車検通る?
車検での足回りの検査というのは、かなり厳しい検査基準があります。
安全に道路を走行するためには少しでも異常があれば部品の交換をしておかないと重大な事故につながったりします。
四輪自動車の車検ではサイドスリップテストという検査項目がありますが、ハブベアリングにガタがある場合は、足回りのアライメント調整が狂っていることがあるのでサイドスリップテストで検査に合格しない場合があります。
車検に通るかどうかより、安全に事故を起こさないかの方が重要ですのでハブベアリングの異音やガタがあるのに放置するのは絶対にやめましょう。
ハブベアリング交換の関連部品
ハブベアリングの交換をするときには、あらかじめ用意しておいた方が良い工具や部品がありますが、その中でも最低限用意しておけばよい物をピックアップしてみました。
ハブベアリンググリス
ハブベアリングプーラー
馬 ジャッキスタンド
ローダウンジャッキ